地域資源
刺し子 ~ふくしまさし子シリーズ~
東北地方に古くから伝わる「刺し子」。
昔は貴重だった布を繰り返し縫い合わせ補強をし、継ぎ合わせ何度も使用していました。
一枚だと薄くて寒い布も、重ねて刺すことで布と布の間に空気の層が生まれ保温性が高まります。寒さの厳しい土地の生活の知恵です。
女性たちは一日の仕事を終えた夜や、畑仕事ができない寒い時期に家族のことを思い、図案に様々な願いを込め一針一針さしていたそうです。
*福島県南会津町の南郷刺し子について*
私たちが住む福島県にも、南会津町南郷地域の「南郷刺し子」があります。
南郷刺し子で作られている刺し子袢纏は全体に数種の模様を刺す装飾的にも美しいものです。
地域の女性たちが、旦那さんを思って一針一針丁寧に刺して作られた袢纏は、晴れ着として着られていたそうです。
現在では、この文化を蘇らせようと南郷刺し子会の皆さんが袢纏を作っていらっしゃいます。
また、南郷地域に生まれた一歳の誕生を迎えた子どもには、南郷刺し子会の方々によって作られた「刺し子ベスト」を送るという素敵なイベントも。
刺し子ベストには子供達の健やかな成長を願い、麻の葉や亀甲など数種の模様が刺されています。
*ふくしまさし子シリーズの開発秘話*
東北に生きた女性たちの誇れる手仕事を、ベルフォンテは今の時代にも伝えていきたいと思う中で、「ふくしまさし子シリーズ」は生まれました。
無心になって手を動かす時間が、現代を忙しく生きている私たちには特別な時間です。
刺し子は今も人の手でしか作れません。
人が刺して作り出すからこそ伝わる温かさや、優しさがあります。
手に取ると、図案に込められた思いが伝わります。
今も昔も変わらない、誰かの幸せを願う時間。
「ふくしまさし子」という架空の女性が、今日も誰かを思ってちくちくと手を動かします。
尾瀬の鹿革 ~oze deerシリーズ~
福島県の南西部に広がる尾瀬国立公園では、2010年ごろから鹿が植物を食い荒らす食害が深刻化しています。
ミズバショウ、ニッコウキスゲなど湿原の植物だけでなく、森林内でも多くの植物を食い荒らすのです。
鹿の食害によって一度失った自然を復活させるのは容易なことではありません。
その対策として毎年数百頭の鹿が駆除されています。
しかし、そのほとんどがただ廃棄処分されるという悲しい現状が。
このような状況の中、尾瀬を守るために鹿の命を奪うだけでなく、命を活かし暮らしの中で役立てたい。命の尊さ・生命をいただくありがたさを感じてほしい。という思いから小山抄子さんが「おぜしかプロジェクト」を立ち上げました。
小山さんは、マタギが捕獲した鹿の皮を譲り受け、東京の専門業者に鞣してもらい、その鹿革を材料に、ブックカバーや名刺入れ、バブーシュなどを製作しています。
ベルフォンテのoze deerシリーズは、おぜしかプロジェクトさんから譲っていただいた鹿革を使用しています。
*鹿革の特性*
牛革に比べるとなじみの薄い鹿革ですが、古来より人の暮らしの中では使われてきた鹿革。
セーム革や剣道の小手に利用されていたのが鹿革です。
商品を手に取られた方に「鹿革でできています!」とお話をすると、みなさんとても驚かれます。
それと同時に「革なのに柔らかい!」という感想をいただきます。
軽くてきめ細かくてしっとりとした肌ざわりです。
*oze deer結シリーズの開発秘話*
シンプルでどんなシーンでも活躍できるデザイン、ストーリーを感じられるアクセサリーをと、一から考案し試行錯誤。そんな中で生まれたのが「結シリーズ」です。
鹿革はとても柔らかくしなやかな素材。それがゆえに結び方で苦労しました。
どこからみても美しい形を導き出すため、カット角度の入れ方・大きさ・結び目。
何度も何度も試作を繰り返し、今の結の形へたどりつきました。
大きすぎず、小さすぎず、シンプルで洗練されている。リボンだけど甘すぎない結んだ形。
「尾瀬」と「あなた」を、「あなた」と「私」を結ぶ。という意味を込めて「結」と名付けました。
ぜひ手にとって様々な想いを感じ取っていただければと思います。
*おぜしかプロジェクト・小山抄子さんからのメッセージ*
福島の素材を使って、今までになかった新しい、それでいてとてもあたたかい小物を企画・製作するベルフォンテさん。
鹿革がこんなに素敵なアクセサリーになるなんて!という驚きがありました。
端革まで無駄なく使いたいという想いを受け取ってくださる大切なパートナーの皆さんです。
会津木綿 ~生活にちょっと、会津木綿。~
会津木綿は400年以上の歴史を誇ります。
昔は主に畑仕事等の野良着として地元の人々に愛され続けてきました。
丈夫で頑丈、夏は風通しが良く涼しく、冬は体温を保ち綿とは思えない温かさ。
夏は暑く、冬は寒い、寒暖差の厳しい福島・会津の盆地気候でもオールシーズン快適に使用出来る高い機能性と織り柄の美しさが特徴の優秀な生地です。
糸の染めから始まり、様々な色のたて糸・よこ糸を並べ重ねて仕上げる独特な工程は、とてつもない手間と時間がかかります。
白い生地に模様をプリントするのではなく、糸を並べて織ることで、独特の模様を作り上げていくのです。960本のたて糸をセッティングするのは人の手で、その作業だけで1日がかり。機械1台で1日に2反(=約24m)ほどしか織り上がりません。
最盛期は30あまりの織元がありましたが、人々のライフスタイルの変化とともに農家の仕事着としての需要が急激に減少し、現在では山田木綿織元・はらっぱ原山織元の2社のみが残っています。
昔から伝わる柄に加え、新しく開発した柄を含めると、その種類は各織元で100~200種類ほどあると言われています。柄の豊富さも会津木綿の特徴の一つです。
*会津木綿の特性*
会津木綿のよこ糸には節のある糸が使われているのが特徴です。その節によって、たて糸とよこ糸の織り目に不均一さが生まれ、空気を含む層を作ります。
空気をたくさん含んだ会津木綿は、夏は涼しく、冬は温かく体を包み込みます。
また、吸水性良く、通気性に優れていて乾きも早いため、よだれかけなどには最適です。
化学繊維のように静電気も発生せず、色あせのしにくい染色方法で糸が染められているために、ご家庭でも気軽に洗濯することができます。
*生活にちょっと、会津木綿。シリーズの開発秘話*
結婚を機に福島に移住した10数年前、会津のお土産売り場で見かけた会津木綿。
その棚には、巾着や箸袋といったご年配の方が好みそうな商品が陳列されていました。
伝統的な柄の中には、よく見ると可愛く、若い人が好みそうな生地も。
会津木綿を特性や柄の豊富さを生かし、私達でも身に付けたくなるような商品を生みだしたら、福島の良さをもっとアピールできるのではないかと思い、最初に作ったのがまんまるゴムです。
生活の中に、ちょっと会津木綿を取り入れる。何気ないところに、福島を感じるものをと、ピアスやイヤリングを始め様々な商品を考えました。
その間に、子どもが産まれたことをきっかけに、吸収性があり乾きやすいという会津木綿の特性を最大限に生かしたスタイを開発。同柄の会津木綿で色々なアイテムを家族で身に付けるリンクコーデができたらという思いで、男性用の蝶ネクタイやカフスボタンが生まれました。
ベルフォンテの商品の作り手さんは、子育て中の母親や、パートナーが転勤族の奥さんたち。その視点を生かし、デザインはシンプルに、シンプルだけど丁寧にを心がけて作っています。